英辞郎にない英語日記

もうふたつの拉致事件: アルゼンチン編 2009/04/16 14:10

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旅行


ちょっと根性ないんで、途中でへばるかも…。
まず、ちょっと想像してみてください。自分が1976~1983年に生まれて、今26~33才。それほど苦労のない育ち方をし、仕事とか結婚とかもそろそろ軌道にのってきたとする。
そんなとき、突然、白いスカーフをかぶった老婆が現れて、あなたの本当の祖母だと告げる。
今まで自分の両親だと思っていた人たちは、自分の実の両親を誘拐し、拷問し、殺した人たちの仲間だったと。
DNA検査のために髪の毛をくださいと老婆は言う。自分そっくりな人たちのモノクロ写真を見せられる。
あわてて逃げ、両親に変な老女に会ったと言うと、彼らの顔が蒼白になる。
今すぐ外国に逃げるんだ、余計な荷物はいらない。さあ早く…。
 
前の日記でU2の歌を紹介したけれど、あの歌詞にはスティングのものと比べて、ひとつ大きな違いがある。
Midnight, our sons and daughters....
つまり、男性だけでなく女性もさらわれている点だ。
だから、チリでは妻が夫を探すことが多かったが、アルゼンチンは若夫婦をその母たちが探すケースが多い。
母たちは、白いスカーフに子どもの名前を刺繍し、写真をもって、毎週木曜日に、無言で、大統領官邸前の五月広場を一周、ぐるりと行進した。いつしか彼女たちは「五月広場の母たち」と呼ばれ、彼女らを支援する人たちが後ろをついてデモ行進するようになった。
この映画「オフィシャル・ストーリー」から、その行進の様子の動画を。
この映画も、何不自由なく「公式の話」だけ信じて生きてきた女性が主人公。不妊に悩む彼女は軍関係の仕事をしている夫の連れてきたかわいい女の子を養女にし、大事に大事に育てる。
しかし、ある日、気づいてしまう。アルゼンチン軍事政権下の1976~1983年の間に、労働組合員、学生、社会主義思想の持ち主などが夫婦で軍に誘拐され、拷問され、殺されていったという事実があることを。そして、そのさらわれた若い妻のひとりは妊婦だった…彼女は獄中で出産した後に殺され、その赤ん坊が自分の下に連れてこられたのだと。
彼女のように妊娠中に誘拐された人だけでなく、若い女性の中には、拉致され拷問の一環として毎日レイプされ、出産すると赤ん坊が連れ去られるという文字通り「生む機械」扱いをされた人もいる。
そうやって奪われた赤ん坊はどこに行ったか?一部はアルゼンチンや「コンドル作戦」で同じような誘拐殺人を行っていたチリ・ブラジル・パラグアイ・ウルグアイ・ボリビアの軍幹部の元へ連れ去られた。しかし、誘拐された人の数が3万人とも言われるこの「汚い戦争」中に獄中で生まれた子どもの数を考えると、それでは数があわない。それに、それだけの目的でわざわざ子どもを生ませるのもおかしい。しかし、そのほかの赤ん坊たちがどこへ行ったかはわかっていない。
年月がたち、五月広場の母たちは行進をやめ、分裂し、社会活動などにも広がっていったけど、まだ孫を探す祖母たちはいるし、さらわれた子どもたちもどこかで生きている。自分の本当の親を殺した人間の仲間に、育てられたとも知らずに。
なんだかやりきれない話だよね。
この話はウェブにもいっぱい載っているから、詳しく知りたい人は自分も調べてみてね。

 

とりあえず、かなり詳しい英語ドキュメンタリーはこちら。ただし凄惨な話やシーンがあるので注意してね。

http://www.youtube.com/watch?v=WiGWHaksLf8


ブラボー

コメント (12)

Icay
Icay
2009/04/16 18:39
つらい話だな。なんか身を引きちぎられるような気分になる。

トピとはずれるかもだけど、俺は、財布の中に家族の写真を絶対入れない。(フィリピンではそんな男は非情者で、既婚者は絶対に財布に家族の写真を入れる)
んで、運転免許証と外国人登録証の住所を別住所にしている。
もし、財布を落として、拾ったやつがシンジケートの一員で、「お!日本人やん!お!家族もいるぞ。子供を誘拐したら金になる」と思わせないために、そうしてる。
長靴ねこ
長靴ねこ
2009/04/16 18:45
なるほど~愛だな。
ほんとさー、思うけど、いざというときのために家族や自分を守るって発想をふだんからしている人と、けたたましく、あたしが危ない目にあったらどうしてくれるのって騒いで、守ってもらうことばっかり考えている人は違うね。
兄哥ィ、尊敬だにゃ。
Tomy
Tomy
2009/04/16 22:10
これは、へばる。。。
やりきれない。
akomori
akomori
2009/04/16 22:42
悲しい話ですね。 こんなことが 実際にあるなんて。
1976~1983 と言えば まだまだ最近のことですよね。
今の 平和ぼけしている日本では 考えられない・・・
長靴ねこ
長靴ねこ
2009/04/16 23:01
Tomyっち、akomoriさん、コメさんきゅ。
うん、へばってます。
さらわれた子どもたちと同じぐらいの年のひとがが、アルコムユーザーにいっぱいいるっつーのもたまらんね。つい身近な人に置き換えて話しちゃうし。

最後に貼付した動画もかなりきつかったす。
とくに飛行機で海の上に飛んで…って話。
米国のお偉いさんが6か国での誘拐・拷問・殺人を援助してて、「人道的問題があるのはわかるが、この際目をつぶれ」と指示していた文書が残ってた…とか。

さらわれた人の話とか「汚い戦争」の話とか、絶対に軽々しく扱っちゃいけない、きちんと向き合わなきゃと思ったから…へばりましたです。
ぴーなっつ
ぴーなっつ
2009/04/17 01:14
私は自分や自分の家族がこんな目にあったらやだな・・・と思いました。
(軽々しい表現だけど、真剣になりすぎると鬱になりそうで・・・)

キッシンジャーって日本で高い評価を得ていたような気がするんですけど。とんでもないヤツですね。このような行動にもかかわらずノーベル平和賞を受賞したとか。何考えてるんだ、ノルウェー国会(ノーベル平和賞の選考はノルウェー国会が行うらしいので)。

ところで、ねこさんはチリやアルゼンチンのこういう歴史を以前からご存知だったんですか、それともこの機会にいろいろ調べられたんですか?
長靴ねこ
長靴ねこ
2009/04/17 01:55
ぴーなっつさん、コメさんきゅ。
今回の話は、いちばん生々しいだけに身の回りに置き換えて考えちゃいますよね。
やぱ、真剣になりすぎると、欝になると思う?
それ、ふつうだよねー。

ねこは「オフィシャル・ストーリー」を見てたので、アルゼンチンで拉致があったことは知ってた。でも、ドキュメンタリーに出てたくらいひどいとはしらんかった。
チリも、アジェンデがクーデターでピノチェトに殺されたのは深田祐介の「革命商人」で知ってたけど、拉致は知らんかった。

今回のために、載せるもんの取捨選択するために、死屍累々の映像・画像、拷問の話とか山ほど読んで、頭おかしくなりそうになった。

それでもさー。書かないといけないかなと思ったのは、エビータんとこで書いたように、ペロン政権のポピュリズム(大衆迎合政治)が小泉政権のときとそっくりで、その後政界や経済がぐちゃぐちゃになってくようすまで、当時のアルゼンチンと今の日本はそっくりなんだよねー。アルゼンチンはその後軍事政権になって、この虐殺が始まる。日本は事情が違うからそういうことにはなんないだろけど、アメリカべったりなことには変わらないから、さらにどこかに堕ちていくだろうとは思うから、皆に考える機会を与えたかったんだよね。

なんかごめん、今ねこ変かも。
でも、ちょっとショックで。

スー様ものんちゃんも、このことには何にも感じてなくて、ねこがへばったってのをすごい悪意に取ってるってこと。
http://alcom.alc.co.jp/users/4249/diary/show/41258
http://alcom.alc.co.jp/communities/474/entries/show/40135

羊飼いさんが、この問題を「紹介しておきますね」程度の扱いで、まったくショックを受けていないこと。

http://alcom.alc.co.jp/users/8681/diary/show/41564
http://alcom.alc.co.jp/users/8681/diary/show/41555

こんなにひどい目にあった人たちが三万人もいたと聞いても「それがどうした?」って人がいるんだね。ねこがチリのトピでもかなり、調査中にひどい話を見聞きして、ぜえぜえ言いながら書いているところへ、わざと屁理屈で邪魔した人に怒っても、ふつうの人間の感情だとわからない人がいるんだね。

ここにコメを書いてくれた皆さんがいてくれてよかったです。
もう、泣くしかないや(= p ェ q=)
Xapy
Xapy
2009/04/18 06:22
今やっと、これを見ずにアルゼンチンを通るわけにはいかないと心を決めて、見ました。。。

すみません、言葉が見つかりません。人間に対し、人間がどうしてこのようなことができるのか。しかもこれは遠い昔の出来事ではなく、自分と同世代の人たちに起こっていたことだなんて。どんな言葉を並べても、当事者の方々の痛み・苦しみ・絶望の前にはあまりに空虚なのでこれ以上書きませんが、ねこさん、知る機会を与えてくれて、どうもありがとうございました。
ノンビリ
ノンビリ
2009/04/19 23:51
>長靴ねこさん & みなさん
重いテーマなので、ひとり静かに勉強させていただきましたが、やっぱり一言。

英語があまり理解できないので、Wikipediaで「汚い戦争」(Guerra Sucia:Dirty War)について学びました。その昔々に外国から蹂躙され、その後にも国民同士で争う歴史は悲しすぎますね。ここでも、アメリカの影が見え隠れするのですね……。

アメリカの関与については、いろいろ情報があると思いますが、私が気付いたのは下記の記事です。

http://blog.livedoor.jp/cheelend/archives/51491718.html

世界の正義、アメリカの正義とは何なのかと考えてしましますね。
アメリカ贔屓の方には申し訳ありませんが、イラクの国民が「アメリカこそテロの国だ!」と言っていたのを思い出してしまいます。
本当に世界中の人々が仲良くなれる日を望むばかりです。l'espoir(希望)という言葉がわたしが知っている数少ないフランス語のことば。

長靴ねこさん、へこたれずにl'espoir(希望)をもって、笑顔をとりもどしてください。
アルゼンチンを通過するまえに、長靴ねこさんにエールを送ります。
アルゼンチンを通過しても、……!
長靴ねこ
長靴ねこ
2009/04/20 04:35
Xapyさん、ノンビリさん、コメありがとう。
これって重いテーマだから、コメ書くだけでもしんどかったでしょ。ありがとです。

ノンビリさんのご紹介してくださったサイト、よくまとまってますね。
「アメリカの陰謀なんて思い込み」じゃないことがわかりやすく書いてあっていいなあ。
ほんと、他の諸国もいろいろな目にあっていて、もうたまんないです。
今回、チリとアルゼンチンだけを取り上げたのは、この2つの国のケースがいちばんわかりやすいからなんですよね。ボリビアとかパナマとか、複雑すぎてねこの手には負えません。
なので、皆さん、余力があったら他の国の歴史もWikiとかで見てくださいね。一度に見るとしんどいから、一週間に一カ国くらいがいいかも。

ボリビア、大学のころあこがれてた先輩が住んでるんですよね。いつもチャランゴ(フォルクローレ楽器で小さなギターみたいなやつ)を離さないヲタっぽい人でしたけど、好きが高じて今じゃインディオ村で祭りや生活に欠かせない音楽隊の一員になってます。どこから見ても現地人にしか見えない^^;いい人なんで、ボリビアが不安定なのは心配です。山奥だから、いつでも貧乏だって言うんですけど。
いや、私事が長くなりましたが、ねこが言いたかったのは、どの国にもふつうに人の営みがあるってことを忘れたくないですねってこと。だから、その国の不幸について話すときは敬意をもって話したいですね。
単なるケンカの道具にボリビアの人の苦労の話を使わないでほしい。

ただ、ねこの言っているのは、あくまでの「問題な言動」だけで、その人の人格をどうこう言うつもりはありません。いつか、「ここを直せばいいだけだったんだ」って気がついてほしいな。
maechan
maechan
2009/04/23 15:45
maechanです。
アメリカという国は、インドシナ半島にも傷跡を残しています。そうあのベトナムです。
あの地域は、カンボジアとラオスの両国がタイとベトナムにはさまれたところで、過去から争いが絶えませんでした。タイは国内の争いが(今でもその名残がありますが・・・)、ベトナムは中国からの干渉が絶えないところです。
19世紀にフランスからの侵略を受けたのですが、タイ(彼らはフランスと交渉して、ラオスとカンボジアを権利を明け渡した)を除く3国が占領されました。
第二次大戦後、フランスから順次独立したあと、中国・ソ連の影響力を防衛するという「大義名分」でインドシナに進出したのがアメリカです。
冷戦下、アメリカと中国・ソ連との「代理戦争」の主戦場になったのがベトナムで、徐々に泥沼化していく。
その時アメリカは、自分達だけで世界がどうとでもなると思い込んでいたのでしょう。何せ1960年代の話しですから・・・
傷ついたベトナムは共産化し、ソ連と友好関係を結ぶ。ソ連と敵対した中国は、今度はカンボジアと友好化。そうなれば、ベトナムはカンボジアを攻撃する。まさにドミノ倒し。
今のアフガンやイラク、南米への干渉(これは詳細は知りませんでした)について、アメリカは一体何を学んだのでしょう。でっかい体して、世界経済をも危機に陥れる。責任ある行動を自覚して欲しい。

そのように私は思う。

日本のマスコミ、ただ自国政治家を卑下し、アメリカの政治・政治家をうらやましがるだけでなく、自信をもって、日本を誇りに思って欲しい。
私は既に日本の政治家・マスコミの言っていることは参考にはすれど、信じてはいない。

といいながら、日々の仕事では、新聞情報に翻弄される私であったと少々自己反省。
やはり、新聞情報については、本当にそのことで食べている人に実際聞いてみて、ウラを取ってみないとね・・・
長靴ねこ
長靴ねこ
2009/04/24 00:25
maechanさん、コメさんきゅです。
インドシナくわしいんですねえ。
まだまだ先だけど、東南アジアにいったら、トピ期待しておりますっ(=´ ェ `=)ノ

中南米でアメリカのやったことって、一般国民には知らされずCIAと大統領府だけでやったことが多いから、アメリカという国を一個の人格と仮想して非難しても、先につながんないかにゃーって、ねこは最近思うようになったです。
でも、今はネットの普及や欧米以外のメディアの活躍で、情報を闇に葬るのが難しくなったよにゃあ。
ワシントンDCの暴走を苦々しく思い、自分たちは子どもを兵に取られるだけだと反発しているミシガン(マイケル・ムーアの出身地)などの中西部やカリフォルニアなど、米国でも反戦色の強い地域の人たちが、変な海外介入前に察知してNOといえるような時代に早くならないかなあ。
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