かなちゃんの日記

天使にショパンの歌声を 2017/04/21 18:12

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映画


1960年代、カナダ・ケベック州にあるカトリック系の修道院が経営する小さな寄宿学校が廃校の危機に晒され、校長、教師を務めるシスターたち、そして、生徒たちが力を合わせて危機に立ち向かった日々を描いた映画「天使にショパンの歌声を」を観に行ってきました。

 

1960年代、カナダ・ケベック州。毎年冬になると白銀の世界が広がる場所に、カトリック系の修道院が経営する小さな寄宿学校がありました。 この学校は女子校で、校長でシスターのオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)が音楽教育に力を注いでいる事で有名でした。校内では、生徒たちが毎日のように澄んだ歌声を響かせ、生徒たちの中には、ピアノコンクールで銀メダルを獲得した者もいました。

 

しかし、音楽教育が非常に盛んなこの学校は、近代化の波に飲まれようとしていました。 教育改革を進めるケベック州政府の後押しによって公立学校が増加した事が原因で、公立学校へ転校する生徒が相次ぎ、廃校の危機に晒されていたのです。修道院の総長(マリー・ティフォ)は、危機的な状況にあっても、音楽会のチケット代やピアノの購入費用といった必要な出費を惜しまないというオーギュスティーヌの姿勢に頭を抱えていました。

 

そんなある日、オーギュスティーヌの姪で、天性のピアノの才能を持つアリス(ライサンダー・メナード)が、母親で、オーギュスティーヌの妹にあたるマルゴ(マウデ・ゲリン)に連れられて、寄宿学校に転校してきます。アリスは、やむを得ない事情で、マルゴと離れて暮らさなければならなくなり、マルゴがオーギュスティーヌに寄宿学校で面倒を見てくれるよう、頼んでいたのです。アリスは、放浪癖が治らない父親にも、自分を寄宿学校に閉じ込めた母親にも、自分は捨てられたのだと思い込み、心を固く閉ざしていました。

 

アリスは、転校して早々に、授業中に隣の席にいたスザンヌ(エリザベス・トレンブレイ=ギャニオン)と意気投合します。しかし、スザンヌの話に耳を傾けるアリスの手には、1本のタバコが握られていました。

 

ある日、アリスは、オーギュスティーヌや生徒たちが見守る中、ピアノ演奏を披露します。クラシックの曲を演奏し、生徒たちから喝采を浴びたアリスは、なんと、クラシックの曲をジャズ風にアレンジし始めます。オーギュスティーヌは、アリスのとんでもない発想に激怒。アリスも、オーギュスティーヌの気持ちがまるで理解できず、反発してしまいます。

 

オーギュスティーヌがアリスの事で手を焼く中、修道院の総長は、ある決断をします。オーギュスティーヌに、音楽教育を諦め、良妻賢母を育成するよう、強く求めたのです。しかし、オーギュスティーヌは、これを頑なに拒否。寄宿学校で教鞭を取るシスターたちと共に、音楽教育を守り続ける決意をします。

 

そのためにオーギュスティーヌたちがまず考えたのは、音楽イベントの開催でした。寄宿学校を支援してくれている保護者の協力を得て、マスコミを音楽イベントに招待しようと考えたのです。生徒たちが最高の演奏をすれば、マスコミが寄宿学校の事を大々的に報じ、世論を動かす事ができるのではないか。オーギュスティーヌたちは、期待に胸が膨らみます。

 

ところが、イベントを翌日に控えた夜、アリスがまたしてもトラブルを起こしてしまいます。 同級生をかばい、シスターの一人と衝突して、寄宿学校を飛び出してしまったのです。町で一人の青年と恋に落ち、しばらくの間、青年と一緒にダンスに夢中になるアリス。しかし、アリスは、ずっと町中を歩いて自分を探していたオーギュスティーヌに見つかり、無理やり寄宿学校へ連れ戻されてしまいます。

 

翌朝になっても、イベントへの意欲が全く見られないアリス。オーギュスティーヌは、アリスを懸命に説得し、どうにかイベントへ出演させます。イベントは、アリスの見事なピアノ演奏のおかげで大成功に終わり、マスコミは、オーギュスティーヌたちの思惑通り、寄宿学校の事を大々的に報じるのでした。

 

寄宿学校にとって、次なる目標は、コンクールでの金メダルの獲得です。オーギュスティーヌ、シスター、生徒たちが一丸となって、目標を達成するために、毎日、懸命に努力していましたが、ある日、アリスの母・マルゴが突然倒れたとの知らせが届きます…。

 

この作品でメガホンを取ったのは、レア・プール監督。「天国の青い蝶」、「翼をください」など、繊細かつ温かな人間ドラマの名手として知られる女性映画監督で、1979年に初めて長編映画を世に送り出して以来、カナダの映画界を支えてきました。この作品でも、プール監督は、持ち味を遺憾なく発揮し、第18回ケベック映画賞で、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、衣装賞、ヘアスタイリング賞と、6冠を達成しました。

 

オーギュスティーヌを演じたセリーヌ・ボニアーは、 カナダで、テレビ、映画、舞台と幅広く活躍している演技派女優で、カナダのアカデミー賞にあたるジニー賞では、3度もノミネートされた経験があります。今回、ボニアーは、物静かで、頑固さと優しさを兼ね備えたシスターを熱演していました。彼女の凛々しい立ち姿は、まさに役柄そのものを表していました。

 

アリスを演じたのは、現在、モントリオール音楽院に在学中のライサンダー・メナード。この作品が、女優としての長編映画デビューとなります。5歳からピアノを始めた彼女は、数々の音楽コンクールで優勝しただけでなく、カーネギーホールで演奏した経験がなんと3度もあり、さらに、2012年には、「カナダを代表する未来の音楽家30人」の1人に選ばれました。 このような華やかなキャリアから、いかにメナードがアリス役に相応しいかがよく分かります。彼女によるピアノの演奏のシーンの中で、特に印象に残ったのは、リストの「愛の夢 第3番」を演奏しているシーンです。この作品の予告編でも少しだけ演奏を聴く事ができますが、実際に聴いてみると、演奏自体に物凄く安定感があるので、安心して聴いているうちに、心がスーッと浄化されていくような気分になりました。

 

この作品には、もう1つ注目していただきたいポイントがあります。それは、オーギュスティーヌやシスターたちの衣装です。彼女たちはシスターなので、最初は黒の修道服に身を包んでいるのですが、途中で、修道服自体が廃止され、白いブラウスと紺色のワンピースを組み合わせた制服を着用する必要に迫られます。シスターの中には、顔だけを見せる慎ましい格好を止めさせられる事に対し、激しく抵抗する者もいたのですが、最終的には全員が新しい制服を着用して、堂々と校内を歩く事になります。時代の波に飲まれる事の恐ろしさと、それに立ち向かっていくたくましさがよく伝わるエピソードだと思いました。

 

 http://tenshi-chopin.jp/


ブラボー(14

コメント (1)

クリストファー
クリストファー
2017/04/21 19:34
面白そうですね。トレーラー見ました。シスターが被り物を脱ぐと頭はあんな風なんですね!
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かなちゃん

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