ノルウェーの「交渉」術 2009/05/12 07:38

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羊飼い 羊飼い の投稿

去年の6月5日にNHKのクローズアップ現代で「ノルウェー“小国”の外交戦略 〜クラスター爆弾規制交渉〜」が放映されていますがご覧になりましたか? 2003年にもNHKスペシャルで「テロを止めた対話 ~ノルウェー秘密交渉の記録~」が放映されたとか。(残念ながらどちらも動画は見つけられませんでした。)

ノルウェーが数々の和平交渉の仲介役として存在感を示してきたと言われているようですが、私達がノルウェーの交渉術から何を学べるのか、また、どんな課題が存在するのかを考えることが出来たらなと思い、トピを立ち上げました。

番組をご覧になった方、本を読んだりニュースをご覧になったりして何かご存知の方がいらしたら、ノルウェーの外交戦略としての「交渉術」について教えて下さい。また、外交に限らず、日常生活の中での「交渉術」なんかも聞いてみたいです。

(個人・政府を問わず)日本がどのような国際交渉に関与しているかも興味があります。 おすすめの書籍情報などもいいですね。

ということで、関連があると思われることならどんな投稿でも歓迎です♪

----- 以下、参考情報-------

<Wikipediaの"Foreign relations of Norway"より> 

Third party mediation in international conflicts

Norway has played an active role as a third party mediator in a number of international conflicts. The late foreign minister Johan Jørgen Holst was instrumental in forging the Oslo Accords between Israel and the PLO. Thorvald Stoltenberg was part of the unsuccessful mediation team in seeking an end to the war in Bosnia. Norway has contributed both mediation services and financial assistance in Guatemala.

As of 2005, Norwegian diplomats are acting as mediators in Sudan, Bosnia, Sri Lanka, and Colombia. Some of those countries accuse Norway of supporting and propping up separatist groups. Israel is often bitter with harsh criticisms from Norwegian politicians. The spat was at its highest when finance minister Kristin Halvorsen supported boycott of Israeli goods in early 2006. Finance ministry spokesman, Runar Malkenes, told the BBC News website that "there are no moves to push for a boycott of Israeli goods" at government level. Eritrea has been actively supported by Norway during its liberation from Ethiopia. As of recent, Ethiopia expelled six Norwegian diplomats due to Norway's alleged support to 'Terrorist group and Eritrea'. Norway retaliated by cutting aid to Ethiopia.

 

<NHKスペシャル → スリランカの話>

*番組が取り上げたのは主に赤い部分だったようですが、経緯がわかるほうがいいかと思ったので前後の話もつけておきます。

スリランカは1595年以降ポルトガル、オランダ、イギリスの植民地となり、英国は、少数派民族であるタミル人を重用して多数派のシンハラ人を統治 させる分割統治をおこないました。1948年の独立後は、多数派のシンハラ人を主体とする政府はシンハラ人優遇政策を取り、これに反発したタミル人のグ ループがスリランカ北・東部地域をタミル人のホームランドであるとして、その独立を求める「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が結成され、1983 年には本格的内戦に発展、以降政府側LTTE側双方で7万人以上が犠牲となっています。

1987年のインド仲介によるインド・スリランカ和平協定による停戦、クマラトゥンガ大統領就任後の1995年の停戦もあるがどちらも破綻に終わっ ている。そのつど話し合われた和平案も基本的には自治権委譲・拡大が中心であるが、実はこうした案は1957年に話し合われた協定にも盛り込まれており、 それ以来合意できずに出ては消え出ては消えしてきました。実際現在も解決案として話し合われているのも権限委譲案です。

1997年に米国がLTTEをテロリスト組織指定したのを始め、スリランカ国内でも非合法団体になり、カナダ、イギリス、オーストラリアなどでも非合法化されていきました。

ノルウェーにはスリランカから移住した多くのタミル人が住んでいると共に中東和平仲介 の実績があることから大統領はノルウェーに和平交渉の仲介を依頼。しかし1999年に大統領を狙ったテロがあり、大統領は右目を負傷、21人が死亡、NHKのクルーを含めて100人以上が負傷した。そこで大統領の態度は硬化する。一方、ノルェーの努力が実を結び、LTTEは2000年ノルウェー仲介の和平交渉に応じて2001年にLTTEから一方的な停戦宣言をする。ノルウェーの交渉はさらに続き、スリランカ政府との2002年停戦合意に至る。

しかし、合意1年後には最初の武力衝突が起こる。

日本政府が当時打ち出していた、「平和の定着」「人間の安全保障」 外交の試金石とすべく、明石康元国連事務次長を政府代表に任命。2003年に第6回和平交渉が箱根で行なわれる。この会議ではタミル人への支援の割合の問題などで対話は中断。同年スリランカ復興支援国会議 (東京会議)を開催。

 

 <クローズアップ現代 → クラスター爆弾規制条約の話>

 

*NHKによる番組説明

大量に残る不発弾によって、世界中で市民に多大な被害をもたらしてきたクラスター爆弾。先週、そのクラスター爆弾を禁止する初めての国際条約が111カ国 によって採択された。複雑な利害が絡み合う多国間交渉をまとめあげたのは、数々の和平交渉の仲介役として存在感を示してきた北欧の国ノルウェー。1年半に 及んだ交渉は、一時存続すら危ぶまれる状況に陥ったが、危機を乗り越え、合意に導いたのはノルウェーの巧みな外交術だった。長期密着取材によって、外交の 力で国際社会を動かす"小国"の戦略に迫る。 (NO.2593)

スタジオゲスト : 池上 佳助さん     (東海大学准教授)

 

*内容補足

条約採択に否定的だったのは、ドイツ、フランス、イギリスの三カ国で、一時は交渉決裂かと思われたが、議長は、実はフランスは脈ありだという情報を入手。

「フランスは、保有国としてなるべく有利に交渉をすすめたいだけで、脱退の意思は無い。むしろ抵抗勢力と思われることを怖れている」と聞いた議長は急遽フランスへ飛び、協議の末、厳しい基準ではあるがそれをクリアする新型クラスター爆弾ならば規制の対象外とすることで条約採択に合意させることに成功。(この新型を規制対象外としても、現在のクラスター爆弾の99%が規制対象に含まれ、使用できなくなるのだそうです。)

また、ドイツに対しても交渉に向かい、「ドイツの技術力をもってすれば、この厳しい基準はクリアできる」などと説得。
イギリスに対しては、あえて交渉せず、孤立化させる。

結果として、会議で多くの国がこの案に賛成し、イギリスも「イギリスは、クラスター爆弾を、新型も含めて今後一切使用しない」と宣言。クラスター爆弾規制条約が成立に至った。

 

<関連書籍>

『ノルウェー秘密工作』ジェイン コービン (Jane Corbin )著, 仙名紀  翻訳 、1994年、新潮社

Databaseより内容説明を転載:パレスチナとイスラエルの歴史的な和解。その裏では、ノルウェーの民間人夫妻の知られざる貢献があった。永年の宿敵は何故和解しえたのか。北欧の森で秘かに進行した現代史の奇跡の全貌が今明らかになる。


ブラボー

コメント (6)

羊飼い
羊飼い
2009/05/12 16:10
ノルウェー大使館のサイトにも次のような情報が出ていました。

「紛争地域におけるノルウェーの和平・調停活動」

http://www.norway.or.jp/policy/peace/peace/peace.htm

冒頭にはこんなことが・・・

>平和・安全・安定を目指す国際社会の活動は、現行の国際法、国連憲章、国連安全保障理事会決議に基づいて行なわれなければなりません。国連は平和と安全に対する脅威への取り組みにおける中心的存在ですが、世界各地の和平の推進のために各国による個々の貢献も重要です。

その他のサイトも見ていくとよさそうです。

それにしてもこのウェブサイトは情報満載ですが、読みやすくてすごいですね。びっくりです。
Jenn@イーコム
Jenn@イーコム
2009/05/12 22:37
私は、羊飼い様の、情報収集とアンテナ感度の大きさにびっくりです。
アリソン
アリソン
2009/05/13 14:29
このノルウェー大使館のサイト、とっても読みやすくてほんとうにいいですね。概要がつかめたような気になりました。ご紹介ありがとうございました。
羊飼い
羊飼い
2009/05/18 15:19
サンさん

 コメントどうもありがとうございます。(燦々と振りそそぐ陽の光を思わせますね・・・♪)
 これはたまたま見かけて面白そうだったというだけなんですよ。


アリソンさん

 さすがITび進んだ国ですよね。この大使館サイトがまたいい宣伝になっているように思います。

羊飼い
羊飼い
2009/05/18 15:23
スリランカの内戦に終止符が打たれるのか?という報道が週末ありましたね。


結局武装解除による和平ではなく武力行使の結果のようで、ノルウェー政府サイトにもあるように和平の交渉が締結したあとにどう実現させるかが本当に難しく、なかなかうまく進まないのだなと思いました。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090517AT2M1700H17052009.html

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090517AT2M1700H17052009.html

しまたか
しまたか
2009/05/21 00:30
スリランカ内戦終結宣言がでましたね。そう、力ずくで。新聞で読む限りでは、まだまだ対立の根は深く残ってしまっているようですね。
でも、国際的な役割を果たそうとするノルウェーの姿勢はよいですね。
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