(11) "(Someone) is Lancashire." 英語表現 2017/03/19 14:03

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ネイティブがしゃべる「崩れた英語」と言ったら言い過ぎかもしれないけど、厳密に言えば文法的ではなく、あるいは文法的には許されるとしてもできればもう少し変えたほうがもっとよいと思われるような英語を見聞きすると、面白い。僕が今読んでいる小説の中で今さっき見つけた表現をここに紹介する。

"From this very Shropshire. Yes, that is odd. ★My mother's people were Lancashire.★ But why do your brother and your sisters object to Mrs. Bast?"
(E.M. Forster "Howards End," 1910; Chapter 27; Everyman's Library p.248)
http://www.gutenberg.org/files/2891/2891-h/2891-h.htm

上記の ★ の印のついた部分を言い換えると、
My mother's parents were from Lancashire.
ということだ。このセリフは中上流階級の Helen Schlegel のものだ。かなり裕福で仕事をしなくても豊かに暮らせるし、自分も家族もみんな学問や芸術に造詣が深い。しかしこの Helen は異色な存在として描かれており、労働者階級に対する共感が厚い。そして中上流階級にはふさわしくないと一般に思われているのではないかと思える突飛な行動をとる。

上記の "(Someone) is Lancashire." というのは、厳密に言うと変な英語であるはずだ。しかしこのような英語は、話し言葉では見聞きする。小説においてはその崩れたままの英語で出てくることは少なく、いくらか正しいヴァージョンに変えてあったりするので、その崩れ方を楽しめる機会が少ない。テレビドラマ(少なくともアメリカのもの)でも、やはりあまりに崩れているとそれを見る子供たちに悪影響を与えるからなのかどうか知らないけど、崩れているとはいえ崩し方が上品だ。映画となるとかなり崩れるけど、それでもやはりいくらか正統な英語に近づけてある。

実生活で、しかも労働者階級が使う英語となると、相当に崩れているはずだけど、僕はそういうものを聞く機会はほとんどないので、たまに映画や小説の中で出てくるものから類推するしかない。さらには聞き取り能力の劣った僕が労働者階級(特にイギリスの地方にいる方言まるだしの労働者階級)の言葉を聞いて聴きとれるはずもない。

もう一つ、今はっきりと覚えている話し言葉の表現を紹介する。

映画のタイトル: White Palace (1990)

初老の男性による台詞: I'm talking about people, folks, who are unmitigated tragedies for the working class.

SUZAN SARANDON: Mister, ★I am working class.★ And what the hell do you know about it anyway? It doesn't look to me like you've been missing many meals.

http://www.subzin.com/quotes/M115008020/White+Palace/Mister%2C+I+am+working+class.

上記の ★ をつけたセリフは、I am a member of the working class. という意味だ。もちろん、working class にハイフンをつけて I am working-class. ということで、working-class を複合形容詞として使っているのだと説明はできる。(もちろんのことながら “a working-class hero” や “a working-class family” というように、この複合形容詞を限定用法(attributive use)にて使う例は、堅くて正統な英文においてもよく見る正式の英語だ。)しかしこのような複合形容詞を 叙述用法(predicate use)として(つまり名詞の前につけるのではなくて、あくまで述語として、そのあとには名詞を付けない形として)使っている例は、少なくとも堅い書き言葉では(あまり、あるいはまったく)使われないようだ。とはいえ話し言葉では、上記の例のように、複合形容詞を predicate としてよく使うのは知っている。

上記のようなものは、「崩れている」と言えるほどの英語ではない。会話ではよく出てくるものだ。ただ、堅い書き言葉とは違っているという意味で、ここで添え書きしておいた。

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